住所: 福岡県大牟田市宝坂町2丁目19番地1 TEL: 0944-53-1061(代表)
大動脈瘤に対する開腹手術に替わる治療として最近経カテーテル人工血管移植術が行われるようになってきました。ステントグラフトとは、従来用いられていた人工血管内に金属ステントを縫着したものです。ステントグラフト内挿術は主に腹部大動脈瘤と胸部大動脈瘤の治療に用いられています。つまり、血管内にステントグラフトを挿入(瘤の中枢から末梢まで)することによって、瘤内への血流を遮断し、動脈瘤の破裂を予防するといったものです。
腹部大動脈瘤の開腹手術では、腹部に傷が入り数日間の絶食期間がありますが、ステントグラフト内挿術では、上腕と鼠径部の僅かな傷で手術時間も短縮され、痛みも殆どなく、絶食期間も短くなります。
ステントグラフト内挿術は海外にて初めて施行され、海外では主流な治療法となりつつありますが、日本ではまだ比較的新しい治療法です。治療法として数年前に厚生労働省に健康保険が適応とされ、今年になりやっと平成19年4月1日より市販のステントグラフトが保険適応となりました。新しい治療法なだけに技術、経験などの面からも実際にステントグラフト内挿術を行うには腹部大動脈瘤ステントグラフト実施基準が定められています。
外科手術による治療が第一選択とならない場合でかつ解剖学的適応を満たすことが条件となっています。つまりステントグラフト内挿術を安全、確実に行う為にも大動脈瘤の部位、形状、重篤な併存疾患が有る、高齢であるなど一般的な開腹手術には耐えられないような高リスクな場合に限り適応となっています。
患者さんは78歳の女性です。
腹部大動脈瘤の急速な増大(昨年5.8cm→今年7cm)を認め紹介となりました。大腸癌による開腹術の既往があり、術前の心機能評価にて心臓の弁膜症がみつかりました。
腹部大動脈瘤の大きさ、及び開腹の既往、高齢、心臓疾患があることから、ステントグラフト内挿術が選択されました。術後、動脈瘤内への血流は消失し増大もなく経過は順調です。
手術後の水平断層写真です。
真中の白い丸い部分がステントグラフト内(腹部大動脈内)で周りの黒い部分は大動脈瘤が血栓化して血流のなくなったものです。
大動脈瘤内への血流はなくなっていることがわかります。
手術中の血管造影写真です。
手術中の血管造影写真で、黒く造影されているのが腹部大動脈瘤です。 矢印部分がステントグラフトの入っている部分で腹部大動脈(黒い部分)の中に白く抜けているのが金属ステントです。
手術中の血管造影写真です。
手術中の血管造影写真で、黒く造影されているのが腹部大動脈です。 矢印部分がステントグラフトの入っている部分で腹部大動脈(黒い部分)の中に白く抜けているのが金属ステントです。瘤内への血流は認めません。