腹部大動脈瘤の手術症例│大牟田市立病院

住所: 福岡県大牟田市宝坂町2丁目19番地1 TEL: 0944-53-1061(代表)

メディカルパティオ

腹部大動脈瘤の手術症例

腹部大動脈瘤について

腹部大動脈とは・・・

心臓から胸部大動脈(頭部、上半身を栄養する血管の根幹)から腹部大動脈(腹部、下半身を栄養する血管の根幹)へとつながっていて、腹部大動脈は体の中心部(お臍あたり)のやや背中側に位置し、正常の腹部大動脈は約1.5~2cmあります。

腹部大動脈瘤とは・・・

腹部大動脈瘤の約9割は動脈硬化が原因で虚血性心疾患、高血圧、喫煙歴、糖尿病、閉塞性動脈硬化症の合併率が高く、60~70歳代の男性に多く発症します。一般的には4~5cm(正常径の2倍)以上に拡大すると手術適応とされ、6cm以上に拡大すると破裂の危険性が高くなります。腹部大動脈瘤が破裂し、そのまま放置すれば、死にいたります。破裂後の手術死亡率は30~50%とかなり高くなりますが、未破裂でのいわゆる待期的手術であれば、手術死亡率は2~3%未満とかなり低いため、ある程度の大きさが確認されれば、手術をお勧めしています。また最近では高齢化がすすみ、80歳以上の患者さんでも手術することも稀ではなくなり、比較的安全に行えるようなりました。 現在の医学では腹部大動脈瘤に関しては、内服薬や点滴などの治療は無効で手術が唯一確立した根知的治療法です。また、腹部大動脈瘤は無痛性拍動性腫瘤として気付くか、ほとんどの方が無症状(破裂時以外)で、腹部超音波検査や腹部のCTやMRIなどで偶然発見されることがほとんどです。

今回は当院の腹部大動脈瘤の患者さんの一例をご紹介します。 患者さんは75歳の女性で既往歴に高血圧と高脂血症があり、掛かり付け医で腹部超音波検査を施行され腹部大動脈瘤を指摘されて当院に紹介されました。当院紹介時にすでに腹部大動脈瘤の大きさが7cmもありましたので、術前検査を早急に行い手術となりました。手術後は順調に経過し、手術後3週間以内に無事退院されました。手術はY字型人工血管置換術といって、瘤化した部分の腹部大動脈をY字型の人工血管に置換する手術を行いました。

腹部超音波検査(紹介医で行われた検査)
腹部超音波検査(紹介医で行われた検査)

ほぼ黒く抜けた部分が動脈瘤の中、つまり血液が流れている部分です。この検査だけでも動脈瘤の大きさをほぼつかむことができます。約7.4cm×7.8cmあります。


CT(体を輪切りにした断面の写真)
CT(体を輪切りにした断面の写真)

写真の右側上方の白く丸いのが拡張した腹部大動脈瘤です。(正常径の約4倍) 診断:腹部大動脈瘤(最大径約7cm)


3D-CT(CTで得られた画像をコンピュータで三次元【立体画像】化した像)
3D-CT(CTで得られた画像をコンピュータで三次元【立体画像】化した像)

写真中央でやや前方に突出する瘤化した大動脈を認めます。


DSA(血管造影写真)
DSA(血管造影写真)

左側が手術前の血管造影写真で右側が手術後の血管造影写真です。 瘤化した大動脈が逆Y字型人工血管に置換され、ほぼ正常の腹部大動脈の大きさになっています。


いったん破裂すると死に至る可能性の高い腹部大動脈瘤ですが、このように破裂前に診断され、手術できれば、一ヶ月弱の入院でほぼ普通の生活が出来るようになります。
以上今回は腹部の大動脈瘤症例を呈示いたしました。次回は同じ腹部大動脈瘤ですがカテーテルを主体とした治療法を御覧にいれたいと思います。

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