住所: 福岡県大牟田市宝坂町2丁目19番地1 TEL: 0944-53-1061(代表)
毎週木曜日は午後(1時半~4時半)より、もの忘れ外来を行っています。
ご予約に関するお問い合わせは当科外来受付までお願いします。
会話をしていて、人の名前やものの名前が出てこなくて、「ほら、ほら、あれよ!あれ!えーっと、何て言ったっけ・・・?」などと言うことがある。2,3日前に何をしたかとか、何を食べたかとかが思い出せない。・・・皆さんこのような経験はありませんか?このような物忘れは、日常生活のなかでどなたでも大なり小なり経験するところだと思います。
そして、これらを高頻度に自覚する人が、「ぼけよるんじゃないでしょうか?」「認知症になりはせんでしょうか?」などといって、診断を求めて受診してくる場合もあります。特に昨今は「脳を鍛える=脳トレ」が大ブームになって、関連商品が軒並み高い売り上げを記録しているところからも、脳の衰えやもの忘れに対する注目度の高さがうかがえ、もの忘れに対して病院を受診することへの需要が高いという現状があります。
しかし冒頭に述べたような状態は、前述の通り日常生活のなかでどなたでも経験しうる、いわゆる「生理的もの忘れ」と呼ばれるもので、病気として扱われるものではありません。
では「生理的もの忘れ」と「認知症」の違いは何でしょう。
まず認知症で見られるもの忘れは、一度見たとか覚えたという事実自体を忘れてしまうことがあるということです。「ほら、ほら、あれよ!あれ!」という状態は、対象となるものを覚えたという事実を自覚していて、名前などが思い出せない状態の時に起こるものですが、認知症の場合は一度見たことがある対象に対しても、覚えたという事実を自覚していないので、あたかも初めて見聞きしたように応じることがあり、進行するとその頻度が増えてきます。
もの忘れの対象は、新しいものや最近接した物事とかから始まり、徐々に昔からなじんでいる物事に広がっていきますので、昔の出来事、特に自分に関連のある出来事は、ある程度もの忘れが進行しても記憶として残ります。そして、例えば財布など大事なものの置き場所を忘れたときに、そこに置いたという記憶まで抜け落ちるため、「なくした」といったり、「盗られた」といって家族を疑ったりするということも起こってきます。
また認知症になると、今日の日付や曜日がわからなくなったり、今どこにいるのかわからなくなったり、会ったことのある人が誰だかわからなくなるということが起こります。これを専門的には「見当識の障害」といい、「生理的もの忘れ」にはまず見られないものです。また、日常生活において、それまでできていたことが全般的にできなくなってきます。それはまず留守番や電話の応対、計算して買い物をするなどの複雑なことができなくなり、徐々に更衣、排泄など基本的な生活習慣のつまずきへと広がっていきます。
認知症には大きく分けて、アルツハイマー病に代表される脳自体の変性や萎縮が起こるものと、脳梗塞などの脳血管障害によるものがあり、臨床症状や画像診断によって診断され、治療法も異なります。また、もの忘れや反応の乏しさを訴える人のなかには、うつ病に代表される精神疾患がある場合もあり、いずれにしても早期発見、早期治療が必要となります。
このようにもの忘れに対して適切に診断・治療をするために、「もの忘れ外来」を開設する医療機関が全国的に増えています。大牟田・高田地区におきましても、複数の医療機関で「もの忘れ外来」を開設されています。
当科でも6月から、毎週木曜日の午後に「もの忘れ外来」を開設し、もの忘れを訴える患者様に対して診断および治療を行っております。この文章を読んで気になった方や、ご家族のご相談をされたいという方は、お気軽にご相談ください。
(本原稿は、有明新報平成18年7月7日号「医学医療の現場から」掲載原稿を一部変更したものです。)